うどん職人×和太鼓
ゴールドアワードへの道


「Summit International Awards」金賞(GOLD)受賞
当社で制作した、株式会社グルメ杵屋様ブランディング映像「う DON」が、米国のマーケティング・広告の専門家によって評価される「Summit International Awards」にて金賞(GOLD)を受賞いたしました。
大変栄誉ある賞の受賞にいたるまで、その裏では制作スタッフたちの熱きドラマがありました。ここでは入社半年の若手制作スタッフである私の視点から、映像制作の裏側を書き留めていきたいと思います。
うどんの魅力を世界の人々に知ってほしい
みなさんはうどん派ですか?そば派ですか?
関西出身の私は断然うどん派です。うどんなしでは生きていけない方もきっとたくさんいらっしゃると思います。

そんなうどんの魅力を大阪関西万博に訪れる世界中の人々に伝えたい…。
日本初のうどんチェーン店「実演手打うどん杵屋」を出店した株式会社グルメ杵屋様よりブランドムービーの制作依頼がありました。
プロデューサー:林 慎二郎
私は大阪に勤務しており、今年はぜひとも万博の仕事に関わりたいと常々願っていました。
そんな時、AD時代に何度かお仕事させていただいた方から、突然お電話をいただきました。「今、グルメ杵屋で働いており、万博向けの映像を作りたい」とお話しくださいました。15年以上も経っているにもかかわらず、私や当社のことを覚えていてくださったことに、とても感激するとともに、このご縁に深く感謝し、いただいたチャンスを無駄にせず、最高の成果を出して、多くの人に感動を届ける映像を作りたいと強く思いました。(林)
ただのダジャレを壮大な映像に
うどん、ぅどん、どん、ドン、DON…ドンといえば和太鼓の音色

「うどん」という言葉の響きから、和太鼓とのコラボレーションという着想を得ました。ただのダジャレですね。でもこの発想がクライアントの思惑と一致。


企画・演出・編集:前田 紘輝
企画に込められたコンセプト、そして思い
今回、万博で上映するブランディング映像ということで、エンターテインメントに仕立てる必要があると真っ先に思いました。ある種、視る人がお祭りのような感覚になれる映像を作ることはできないかなと。
「うどん × エンターテインメント・お祭り」
この図式が、パッと脳裏に焼き付きました。これを表現する上で、うどんの魅力をエンタメに昇華させるエッセンスとして和太鼓を考え、和太鼓の楽曲に乗せ両者のプロフェッショナルな精神のシンクロをミュージックビデオのように仕立てる作品を創ろうと思い至りました。(前田)
そして、大阪を代表する和太鼓集団・倭太鼓飛龍の協力を取りつけ、本格的な制作が始まっていきます。


うどんを知るためにうどん教室へ
日々親しんでいるうどんですが、なかなかに奥が深いものであります。真のうどんを知るために、我々はグルメ杵屋様が開催されているうどん教室に参加しました。


アシスタントプロデューサー:常山 正太郎
雪のロケハン
2025年3月。想定外の雪模様で見舞われながら、関西各地の絶景スポットへロケハンを行いました。「ふたつの日本文化を融合させ、世界へ羽ばたかせる」という考えを根底にシチュエーションを検討し、日本の壮大な自然で撮影したいという考えに至りました。演出のキーポイントである「山紫水明」を実現できそうなロケーションについて徹底的にリサーチを行い、撮影の条件や制約を鑑みて3つの候補に絞り込みました。


滋賀、京都、兵庫と各地を巡り、その中でも兵庫県朝来市にある竹田城跡で撮影をすることに。ただ、景色は抜群なのですが、険しい山道を徒歩で向かう必要があり、機材・和太鼓の運搬が問題です。朝来市観光協会さんからもご協力をいただき、搬入計画を再考。搬入には多くの制約がありそれらを全て満たしうる計画に時間を要しました。
「最大200kgの大太鼓をどのように運び入れるのか?」「一般のお客様に迷惑はかからないか?」「太鼓搬入後、撮影するまで機材の準備時間は十分か?」など、当初は懸念事項が多くありました。それらを受けて搬入経路の図面を作成し、サポートいただいたお会社様と議論を重ね、すべての課題をクリアしつつ実現できる道を模索しました。そして、雪解けを待って再度ロケハンを行い、細かい演出プランを固めていきました。(常山)
秘密兵器ロボットアームを投入
同時並行でうどん調理シーンの撮影を行いました。ここで登場するのが、秘密兵器ロボットアーム。


動きをプログラムすることで、同じ動きを何度も再現することができ、うどん職人と和太鼓がシンクロする今回の撮影にはうってつけです。ただし、食品は生もの、うどんは伸びていきます。撮影は時間との勝負です。
シズル感、湯気、麺のコシ。
刻一刻と変化していく商品を最高のコンディションで撮影すべく、画角、カメラワーク、ライティングetc・・・。
あらゆる要素にこだわりました。



僕も調理のためのテーブルの製作に関わりました。あらゆる角度からの見え方にこだわる必要があり、予算の都合上ホームセンターで材料を購入し、DIYすることに。まさか、入社初仕事がDIYとは思いませんでしたが…。
200㎏の太鼓を竹田城跡の山頂へ
2025年4月下旬、ついに竹田城跡での撮影です。まず、大小12の太鼓を山頂まで搬入しました。中には200㎏を超える巨大な太鼓も。

車両の駐車場所から撮影場所の南千畳まで約500m、高低差約30mの道のりを手運びで搬入。延べ40人以上のスタッフを動員し、まさに人海戦術でまさに城攻めさながらの雰囲気でした。

そして、夜明けとともに撮影開始。
うどん侍がつゆを飲むシーンでは倭太鼓飛龍の代表 飛鳥様より熱い演技指導もありました。
倭太鼓飛龍 飛鳥峯英様のコメント
演奏に込められた思い
最初にパナソニック映像さんからお話を頂いた時は、割と簡単に考えておりました。お受けしてから、打ち合わせを重ねるほど、事の重大さ、スケールの大きさ…何より、パナソニック映像のスタッフさんが「良いモノを創る」事に対する気概に溢れていたのです。これは、数ある現場の一つという事で向き合うと大変な事になる…と、私も及ばずながら本気のスイッチが入りました。
天空の城とまで言われる竹田城跡に、和太鼓を運び、そこで演奏するなど、恐らく今後も出てこないでしょう。複数の候補地から、竹田城跡に決まった時から、200キロを超える楽器を、どう持って上がるのか?実際に可能なのか?一つ一つの事を塗りつぶしながら、今回の撮影は行われました。クライアント、制作者、演者、スタッフ全員が同じ方向を向き「良い作品を創る」事に集中した結果、素晴らしい作品が生まれました。この度のプロジェクトの末席に加えて頂いた事、夢のようなひと時でした。
撮影当日、早朝より朝日を待って打ち出す一打…感無量でした。城跡から下を見下ろせば、現代の建物が並び、自動車が行き来るなか、目線を上げていくと、古の頃より、姿かたちが変わらない山々…。当時の人達は、この朝日、この景色を眺め、何を思っただろうか…。そんな万感の想いの中で演奏を重ねる事が出来たのは、私の演奏家人生の中でも最も尊い時間の一つとなりました。
この度、私どもを選んで頂いた株式会社グルメ杵屋様、普通に考えれば、絶対に無理な所なのに、実行、実現して頂いたパナソニック映像株式会社様、早朝の暗闇から、日が落ちてからの撤収に至るまで、楽器の運搬、管理をして下さったユニベール株式会社様、朝来市観光協会の皆々様、本当に有難うございました。(飛鳥峯英様)



竹田城跡に和太鼓の重厚な音が鳴り響きました。(早朝の撮影ということもあり、朝来市観光協会さんに近隣への事前周知も協力いただきました)

印象深いのは、うどん職人がうどんを踏むシーン。こんな絶景の中でうどんを踏むシーンはいまだかつてなかったのではないでしょうか?うどん職人の方々にも楽しんで撮影いただけました。
撮影:貝谷 慎一
今回の映像では自然の美しさと雄大さが必要でしたので、当日は朝来市観光協会さんに許可を得て、一時的に移動するなどして、人工物ができるだけ映りこまないように気を配りました。今回は人手が足りないので、普段は会社で経理として働くメンバーも参加。私たちが撮影するポジションは数カ所ありましたので、先回りして整備して撮影が終わったら復旧するという作業を繰り返してくれました。おかげで撮影自体はスムーズに普段通りに撮影することができました。(撮影機材の手運び上げ下ろしは大変でしたが…)映像には映る事のない数多くのメンバーの影の努力、活躍に感謝ですね。(貝谷)
多くのスタッフに支えられて撮影は無事に終了しました。撮影の様子をメイキング動画にまとめましたのでご覧ください。
オフライン編集:石黒 一哉
今回の作品では竹田城跡での太鼓の演奏のシーンとうどんの調理シーンと大きく分けて2つのシーンがあり、太鼓のシーンでは竹田城跡周辺の壮大な自然と演奏の迫力、調理シーンではうどんや出汁のシズル感を意識してグレーディングを行いました。特に竹田城跡のシーンでは撮影時そこまで天候に恵まれなかったようで曇ってしまっているカットでは空の差し替えもしました。
また編集するタイミングが私の別の業務で海外に出張するタイミングと重なった事もあり編集機材をもって海外のホテルで日本にいる前田監督とコミュニケーションを取りながらグレーディングを進めるといったアクロバティックな事もしていました(笑)(石黒)
そして、万博へ…
2025年5月13日。ついに大阪関西万博内にてグルメ杵屋様のブースがオープン。会場内の大型モニターにて「う・DON」の映像が流れるなか、うどん作りを体験できる、まさにうどんづくしの空間となりました。


今回の映像でクライアントであるグルメ杵屋様の担当者の方にも大変喜んでいただくことができました。企画、撮影、編集と当社の技術を結集した作品。そして、高い評価を受け、金賞を受賞することができました。
クライアント グルメ杵屋 康庄様のコメント
パナソニック映像との仕事はいかがでしたか?
サラリーマン人生の中で、二度と経験することのない大阪・関西万博。この特別な機会に、どうしても「最高の映像を作り、杵屋というブランドを世の中に知っていただきたい」という強い想いがありました。
かつて共に仕事をしたパナソニック映像さんにお願いしたところ、皆さんが快く力を貸してくださり、限られた環境の中で、メンバー全員が「ただ良いものを作りたい」という一つの気持ちで心を合わせ、挑戦を続けました。
長時間に及ぶ撮影や、竹田城跡のような困難なロケーションでの撮影にも、多くの方々が惜しみなく協力してくださったおかげで、素晴らしい作品を完成させることができました。
この万博を通じて改めて感じたのは、「信頼と情熱」が生み出す力の大きさです。心より感謝申し上げるとともに、ここで築いた信頼関係をこれからも大切に育てていきたいと思います。(康庄様)
以上、ゴールドアワードへの道と題しまして撮影の裏側紹介でした。筆者個人としては入社して初めての撮影現場でした。右も左もわからずの中で技術スタッフやクライアントにも助けていただき、作品に貢献することができました。今回のノウハウを生かしながら、今後も大規模なロケをはじめ様々な撮影に関わっていければと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。
プロダクショングループ 橋本