高周波無線機の現状と研究開発の課題
近年の高周波無線機は利用される周波数の高周波数化(ミリ波、サブテラヘルツ帯の利用活用)が進んでいます。また、5G/6Gの移動体通信に加え、ミリ波レーダ、宇宙向け通信機器、 IoT機器など無線機器の用途は拡がっています。これらの変化に対応するためには、様々な技術的課題が存在します。
- ①5G/6G・宇宙通信用の大型高利得アンテナ測定に特化した大型電波暗室の不足
- ミリ波帯を使用する5G/6G移動体通信、車載レーダ、宇宙通信では、電波伝搬によるレベル低下が大きいため、大開口で高利得のアンテナが必要です。アンテナ特性を精確に評価するには、開口サイズに応じた「遠方界距離」での測定が不可欠で、測定物と測定用アンテナ間の距離を十分に確保できる大型の電波暗室が求められています。
- ②IoT機器などの無線機器開発において、十分な無線性能を得るのが困難
- IoT対応のため様々な機器に無線機能が搭載されていますが、無線に関する専門知識不足により、市販モジュールの単純搭載では十分な性能が得られないケースが多発しています。無線モジュールの周辺条件の最適化やノイズ対策が必要であり、適切な評価方法や高額な測定器の準備も障壁となっています。
- 大型高利得アンテナの遠方界測定に高額な設備が必要
- 5G/6G機器のOTA評価を効率的に行いたい
- 330GHzまでの超高周波測定器の準備が難しい
- IoT機器の無線性能最適化に専門知識が乏しい
- IRS(知能電波反射面)の評価知識が乏しい
- ミリ波、テラヘルツ波帯の材料特性評価設備がない
大型6面吸収体電波暗室など充実した設備と
技術者の豊富な知見でミリ波/テラヘルツ波の開発を支援
パナソニックシステムネットワークス開発研究所は、330GHzまでのミリ波・テラヘルツ波測定に対応した大型6面吸収体電波暗室を完備し、Beyond 5G/6Gの研究開発における課題解決をワンストップで提供します。35年以上の無線機器の設計経験を持つ専門家チームが、アンテナ測定から材料評価、OTA評価まで幅広いニーズに対応。最先端の測定環境と豊富な知見で、次世代通信技術の発展に貢献し、日本のミリ波&サブテラヘルツ波通信の発展を支援します。

Features ミリ波/テラヘルツ波の測定・コンサルティングサービスの特長最先端技術と豊富な経験でお客様の研究開発を加速
当研究所は、330GHzまでの超高周波測定に対応した大型電波暗室と最新測定機器を駆使し、ミリ波/テラヘルツ帯の無線機器開発を支援します。長年培った技術と経験豊富な専門家による包括的サポートで、高周波通信技術の課題解決と革新的製品開発を加速します。
330GHzに対応した大型6面吸収体電波暗室
最大330GHzまでの超高周波測定に対応した大型6面吸収体電波暗室を完備。アンテナ間距離最大7mで、大型の機器や長距離伝搬評価にも対応可能です。2軸回転による全立体角測定(最大30kgまで)や測定高3mによる広いクワイエットゾーンにより、高精度で柔軟な測定環境を提供します。

高周波・無線技術の技術力と測定・評価に関する知見
長年の研究開発で培った高周波・無線技術の技術力と、豊富な測定・評価経験を持つ専門家がお客様の課題解決をサポートします。単なる測定だけでなく、結果の解釈や改善提案まで含めた包括的なコンサルティングサービスを提供し、製品開発や研究の効率化に貢献します。

測定に必要な測定器を豊富に保有
ネットワークアナライザ、シグナルアナライザ、ベクトル信号発生器など、最新の高周波測定機器を完備しています。さらに、SubTHz帯に対応した周波数エクステンダやアンテナなど、特殊な機器も豊富に保有。お客様のニーズに応じて、最適な測定環境を構築します。
測定器 | 型番 | メーカー |
---|---|---|
ベクトル信号発生器(VXG) | M9484C | Keysight |
任意信号発生器(AWG) | M8195A | Keysight |
アナログSG | N5183B | Keysight |
シグナルアナライザ(UXA) | N9042B | Keysight |
受信エクステンダ (~110GHz) | V3050A | Keysight |
送信エクステンダ (50GHz~75GHz) | N9029BV | Keysight |
周波数エクステンダ (110GHz~170GHz) | N9029ACST | Keysight |
周波数エクステンダ (220GHz~330GHz) | N9029ACST | Keysight |
5G変調オプション | N7631APPC | Keysight |
カスタムOFDM変調オプション | N7608APPC | Keysight |
5G変調解析ソフトウェア | 89601BHNC | Keysight |
OFDM変調解析ソフトウェア | 89601BHFC | Keysight |
測定器 | 型番 | メーカー |
---|---|---|
遅延プロファイル測定ソフトウェア | 89601CSDC | Keysight |
ネットワークアナライザ | N5227B | Keysight |
NWA周波数変換 (110GHz~170GHz) | N5262BW06 | Keysight |
NWA周波数変換 (220GHz~330GHz) | N5262BW03 | Keysight |
ファブリペロー共振器 | FP-BB, FP-J | EMラボ |
フリースペース測定治具 | FS-330 | EMラボ |
ルビジウム発振器 | FS725 | SRS |
150GHzアンテナ | LB-6-25-A | A-INFO |
300GHzアンテナ | LB-4-25-A | A-INFO |
mmW パワーメータ | N1913PM5B | Keysight |
100GHz以上アンプ、LNA等 | N9029AV99 | Keysight |
包括的なサービス提供と柔軟なカスタマイズ対応
アンテナ測定、5G OTA評価、ミリ波レーダ評価、材料特性評価など、幅広いサービスメニューを用意。さらに、お客様の特殊なニーズにも柔軟に対応し、測定セットアップのカスタマイズや新たな評価方法の開発にも取り組みます。ミリ波/テラヘルツ波の測定ワンストップソリューションで、研究開発のスピードアップを支援します。

Case Study ミリ波/テラヘルツ波の測定・コンサルティングサービスのケーススタディ
大型高利得アンテナの精密測定と3D放射パターン評価
衛星通信・5G/6G基地局アンテナの性能最適化の支援
大開口・高利得アンテナの遠方界測定と高精度な3D放射パターン取得が必要だが、適切な測定環境がない。
アンテナサイズに応じた測定距離の確保とダイナミックレンジの最適化、効率的な全方位データ取得が課題となっている。
最大7mのアンテナ間距離を持つ大型電波暗室を活用し、アンテナサイズとダイナミックレンジを考慮した最適な測定セットアップを実現。
2軸回転機構付き測定台により、高速かつ高精度な3D放射パターン(1度ステップ)の取得を数時間で完了し、アンテナ性能の詳細評価を可能にしました。
IRS(Intelligent Reflecting Surface)装置の大規模評価
開発途中段階での性能評価を支援
開発中のIRS装置の性能評価が必要だが、装置の大きな開口面積に対応できる測定環境がない。
IRS装置と測定用アンテナ間の十分な距離確保や、柔軟な配置設定ができる大型暗室が必要だが、既存の評価設備では対応困難。
大型電波暗室を活用し、IRS装置と測定用アンテナ間の距離を十分に確保。両者の配置を柔軟に変更可能な環境を構築し、様々な角度でのIRS装置の反射特性評価を実現。
IoT機器の無線性能向上
専門知識と最適化技術による、通信品質の大幅改善と開発効率化。
IoT対応のため特定機器に市販の無線モジュールを搭載したが、十分な無線性能が得られない。
無線技術の専門知識不足により、無線モジュールの適切な実装方法や性能評価方法がわからず、高額な測定器の準備も困難な状況にある。
無線機器開発の豊富な経験を活かし、無線モジュールの周辺構造最適化とノイズ対策を考慮。アンテナ性能劣化を防ぐモジュール配置や、機器からのノイズ影響を考慮した設計を提案。
性能評価のコンサルティング、測定器の準備、性能改善に関する受託サービスをワンストップで提供し、IoT機器の無線性能を大幅に向上しました。
Other Services ミリ波/テラヘルツ波の測定・コンサルティングサービス関連サービス
アンテナ測定
(マイクロ波、ミリ波、サブテラヘルツ波)
大型6面電波暗室で330GHzまでの高周波・高精度測定を実現。2軸回転台による全立体角測定、最大7mのアンテナ間距離で大型アンテナにも対応。衛星通信や5G/6G向け高利得アンテナの性能最適化を支援します。

5G&6G 登録点検
150GHz帯、300GHz帯を含む、高周波数帯での特定実験試験局の測定を実施。最新の測定機器と豊富な経験を活かし、6G時代を見据えた実験局免許取得に向けた適切な評価を行っていきます。

5G OTA評価
28GHz帯、39GHz帯のTRP測定や全立体角特性評価に対応。5G NR用オプションを備えた測定器を使用し、3GPPに準じた評価項目の測定に対応可能です。

ミリ波レーダ評価
24GHz帯、70GHz帯レーダ装置のEIRP、距離、角度検出を評価。コーナーリフレクタを用いたレーダ性能評価や、アンテナの放射パターン測定が可能。バンパー&レドーム評価にも対応し、自動車用レーダの性能向上に貢献します。

材料特性評価
ネットワークアナライザと周波数変換器を使用し、330GHzまでの高周波・ミリ波・テラヘルツ帯材料特性を評価。フリースペース法とファブリペロー共振器法を材料の厚みと求める精度に応じて使い分け、Sパラメータ、比誘電率、誘電正接を測定します。

How to use 測定機器および大型暗室 ご利用方法
お打ち合わせ・ご提案
お客様のご要望やご予算に合わせて、最適な開発環境のご提案をします。
開発環境ご提供・サポート
開発環境をご提供後も技術的なサポートを行います。

Access ~SubTHz帯に対応した測定機器及び大型暗室アクセス
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